いつも何かを失う予感があると 彼女はそう言った
当时ー
まだ中学生だった仆には実感が持てるはずもなかったけれど
それでも 彼女のその言叶は 不思议に仆の心を震わせた
まだ戦争前ー
エゾと呼ばれた巨大な岛が
他国の领土だった顷の话だ
すごーい!
ヒコーキ!?
今はもう远いあの日 あの云のむこうには
彼女との约束の场所があった
“はげしいはげしい热やあえぎの间から”
“おまえはわたくしに頼んだの”
“银河や太阳 気圏などと呼ばれた世界の”
“空から落ちた雪の最后のひとわんを”
“ふた切れのみかげ石材に”
“みぞれはさみしくたまっている”
“わたくしはその上に危なく立ち”
“雪と水との真っ白な二相系をたもち”
“すきとおる冷たいしずくに満ちた”
あの顷 仆たちは二つのものに憧れていた
あと何分ー?
まだ大丈夫よぉ
ほら
アチッ… サンキュー
ヒロキ 次バイトいつ行く?
ああ 明日まで部活だから あさってかな? タクヤは?
俺も明日の朝练で最后だから
あさってで决まりな
ああ
憧れの一つは同级生の沢渡サユリで
そしてもう一つは
津軽海峡を挟んだ国境のむこうにそびえる あの巨大な塔